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実際に見た夢を脚色した電波なお話。
暗いです。
夢を見た。
それは自分の身体にいろいろな物が巻き付いている夢だった。
紐はもちろんのこと、ロープに鎖に有刺鉄線…茨のつる。
巻き付くのに適した形状のありとあらゆるものがぎゅうぎゅうと絡み合っていた。
そいつらが四方八方から好き勝手に引っ張ってくるので動くこともままならない。
初めのうちはじたばたしてみたが、途中から暴れるのを諦めてそいつらの好きなようにさせておいた。
よく見てみると巻き付き共ののびる先には見知った顔ばかりがある。
身体を引っ張るのは彼らだった。ある人は僕の身体を動かし、ある人は容赦なく引きずり回す。
それを同時にぎゅうぎゅうとやってくるもんだから、腕の一本や二本がちぎれてしまってもおかしくないと思った。
「捨ててくれ」
そう言った。何故かそう言わなければいけない気がした。
ぶつり。
紐が切れる音なんかまともに聞いたことがないから、あれは脳が勝手にあてた音なのだろう。
とにかくそういう音を立てて、緑の粘つく液体を吹き出しながら紐が一本ちぎれた。
身体に巻き付いていた部分はさらさらと消え、知人に繋がる方はうねうねと気持ち悪くのたうちまわっている。
このやろう、紐のくせに汁なんか出しやがって。
心の中で悪態をついているうちに、紐に繋がる知人が消えていた。
ぶつり、ぶつり。
腕に絡まっていたツタとロープがちぎれる。知人が消える。
身体が軽くなる。
それでも容赦なく引っ張る奴、引きずり回す奴、立たせようとする奴は残っている。
何度引き倒されただろうか。
痛い。
さすがに堪らなくなって叫んだ。
「もうたくさんだ。捨ててくれ、僕を捨ててくれ」
ぶつり。
有刺鉄線がちぎれて赤い液体が噴き出す。
今度は誰が消えるかと思えば、憎たらしいあいつ。
身体が軽くなる。
「捨ててくれ、もう僕に構うな」
ぶつり。
鎖が切れる。
消えたのは親しい友人だった。
もういいみんなきえてしまえ。
ぶつり。
茨が切れる。
消えたのは何より怖れている人だった。
なにもかもなくなってしまえぼくをほっといてくれ。
ぶつり。ぶつり。ぶつり。
身体が軽くなる。
そして最後に残った、一際絡みついていたもの。
あらゆる巻き付き共の下になっていて気づかなかったそれは、棘でも鎖でもなく。
細い細い、絹のような糸だった。
そしてその先に繋がるのは。
僕がもっとも愛して止まない人。否、人たち。
その人達の間には僕に絡むより多くの絹糸が巻き付いていた。
ああ、そうか。そうだった。
「…捨ててくれ」
透明の液体が溢れ出す。さらさらと流れ出す。糸はまだ切れない。
「頼むから…もう捨ててくれよッ!!」
自分でも予想していなかったほど悲痛な叫び声が出た。
紙縒を広げるように、糸がほぐれていく。もっと細くほぐれていく。
名残を惜しむように。未練を残すように。
透明の液体はさらさらと、しかし勢いを増して流れていく。
そして。
ぷつん。
彼らが消えるところだけは見たくなくて、ぐっと目を閉じる。視界は暗転し、静寂が辺りを包む。
完全に自由になった身体ではあったが、何故か力が入らない。
充分に時間をおいてから目を開けると、真っ暗な空間に一人で浮かんでいた。
声にならない絶叫。
あぁこれは狂ったな。思考の片隅が一瞬考え、すぐに押しつぶされた。
そんな夢を見た。
それは自分の身体にいろいろな物が巻き付いている夢だった。
紐はもちろんのこと、ロープに鎖に有刺鉄線…茨のつる。
巻き付くのに適した形状のありとあらゆるものがぎゅうぎゅうと絡み合っていた。
そいつらが四方八方から好き勝手に引っ張ってくるので動くこともままならない。
初めのうちはじたばたしてみたが、途中から暴れるのを諦めてそいつらの好きなようにさせておいた。
よく見てみると巻き付き共ののびる先には見知った顔ばかりがある。
身体を引っ張るのは彼らだった。ある人は僕の身体を動かし、ある人は容赦なく引きずり回す。
それを同時にぎゅうぎゅうとやってくるもんだから、腕の一本や二本がちぎれてしまってもおかしくないと思った。
「捨ててくれ」
そう言った。何故かそう言わなければいけない気がした。
ぶつり。
紐が切れる音なんかまともに聞いたことがないから、あれは脳が勝手にあてた音なのだろう。
とにかくそういう音を立てて、緑の粘つく液体を吹き出しながら紐が一本ちぎれた。
身体に巻き付いていた部分はさらさらと消え、知人に繋がる方はうねうねと気持ち悪くのたうちまわっている。
このやろう、紐のくせに汁なんか出しやがって。
心の中で悪態をついているうちに、紐に繋がる知人が消えていた。
ぶつり、ぶつり。
腕に絡まっていたツタとロープがちぎれる。知人が消える。
身体が軽くなる。
それでも容赦なく引っ張る奴、引きずり回す奴、立たせようとする奴は残っている。
何度引き倒されただろうか。
痛い。
さすがに堪らなくなって叫んだ。
「もうたくさんだ。捨ててくれ、僕を捨ててくれ」
ぶつり。
有刺鉄線がちぎれて赤い液体が噴き出す。
今度は誰が消えるかと思えば、憎たらしいあいつ。
身体が軽くなる。
「捨ててくれ、もう僕に構うな」
ぶつり。
鎖が切れる。
消えたのは親しい友人だった。
もういいみんなきえてしまえ。
ぶつり。
茨が切れる。
消えたのは何より怖れている人だった。
なにもかもなくなってしまえぼくをほっといてくれ。
ぶつり。ぶつり。ぶつり。
身体が軽くなる。
そして最後に残った、一際絡みついていたもの。
あらゆる巻き付き共の下になっていて気づかなかったそれは、棘でも鎖でもなく。
細い細い、絹のような糸だった。
そしてその先に繋がるのは。
僕がもっとも愛して止まない人。否、人たち。
その人達の間には僕に絡むより多くの絹糸が巻き付いていた。
ああ、そうか。そうだった。
「…捨ててくれ」
透明の液体が溢れ出す。さらさらと流れ出す。糸はまだ切れない。
「頼むから…もう捨ててくれよッ!!」
自分でも予想していなかったほど悲痛な叫び声が出た。
紙縒を広げるように、糸がほぐれていく。もっと細くほぐれていく。
名残を惜しむように。未練を残すように。
透明の液体はさらさらと、しかし勢いを増して流れていく。
そして。
ぷつん。
彼らが消えるところだけは見たくなくて、ぐっと目を閉じる。視界は暗転し、静寂が辺りを包む。
完全に自由になった身体ではあったが、何故か力が入らない。
充分に時間をおいてから目を開けると、真っ暗な空間に一人で浮かんでいた。
声にならない絶叫。
あぁこれは狂ったな。思考の片隅が一瞬考え、すぐに押しつぶされた。
そんな夢を見た。
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